完璧に褒めようとしなくていい。”気付ける親”が子どもを伸ばす


「褒め言葉が響かない子ども」でも大丈夫。ささいなことを拾う“ゆる褒め”の力

エピソード

「すごいね」「えらいね」と言っても、うちの子は「すーん」。反応薄いな‥

自己肯定感を上げるためには「褒めが大事でしょ?」と思っていた私は頑張って褒めていたのに、なんだか届いていない気がしていました。

そんなある日、夕食のあとに息子がイライラしながらお皿を片付けていました。
私が「でも、自分でやろうと思ったんだね」と何気なく言ったら、少しだけ表情がやわらいだんです。
その瞬間、「褒めるって“良いことを探す”だけじゃないのかもしれない」と感じました。


心理学から見た視点

人は「評価されること」よりも「気づいてもらうこと」で安心します。
心理学では、これを“存在承認”と呼びます。

「えらいね」は結果を評価する“行動承認”。
「見てたよ」「気づいたよ」は、存在そのものを認める“存在承認”。

この「存在承認」の言葉が、子どもの心をやわらかくする鍵になります。


どうすればよいか

完璧にできたときだけを褒めようとすると、親も子も疲れてしまいます。
“できた”ではなく、“動いた”を拾ってみましょう。
その一言が、子どもの自己肯定感を育てるきっかけになります。

以下は、日常によくある場面で使える“ゆる褒め”の例です。


朝の支度

「時間ギリギリだけど、自分で着替えようとしたね」
→ 行動を始めた瞬間を認めると、スタートのハードルが下がります。

食事中

「嫌いな野菜、ひと口でもチャレンジできたね」
→ 結果よりも“やってみようとした勇気”を褒めます。

お手伝いのとき

「お皿の持ち方、前より上手になってるね」
→ 成長の“途中”を見つけると、子どもは続けたくなります。

宿題タイム

「今日は気分が乗らなかったけど、机の前に座っただけでもすごいね」
→ 完成に出来ることよりも“向き合おうとした姿勢”を認めます。

兄弟げんかのあと

「言いすぎちゃったけど、あとで謝ろうと思ってるんだね」
→ 感情の中にある“反省の芽”を見逃さないようにします。

失敗したとき

「悔しいって思えるのは、それだけ真剣だった証拠だね」
→ ネガティブな感情にも前向きな意味を見つけてあげます。

学校の話をしてくれたとき

「話してくれてうれしいよ。あなたの話を聞くのが好きだな」
→ 話したという行動自体が、信頼のサインです。

お風呂に入りたがらないとき

「めんどくさいって言いながらも、ちゃんと準備してるね」
→ 行動と気持ちのギャップを軽く拾うと、親子の空気がやわらぎます。

注意したあと

「ちゃんと聞いてくれたね。受け止めようとしてくれてありがとう」
→ “聞く姿勢”を褒めると、次も受け入れやすくなります。

寝る前

「今日はうまくいかないこともあったけど、1日よくがんばったね」
→ 1日の終わりに“存在承認”を伝えることで、安心して眠りにつけます。


褒めることは「評価すること」ではなく、「気づいて伝えること」。
良いことも、ちょっと失敗したことも、そこに“気持ち”や“意図”があるなら、それは褒めるきっかけになります。

「いい子に育てよう」よりも、「気づいてあげよう」。
それだけで、親子の会話はぐっとやさしくなります。


どんな事でも、良くない事に見える時だって、褒めのチャンスはある!

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